会報より
cascade 会員番号 K563
中学3年生の女の子から一枚のCDを手渡された。
「貸してあげる。すっごい感動するから。」と。
「受験、怖いよぉ。」
彼女はストレスが原因と思われる様々な体の変調を訴えながらも、週に一度いろいろな感動の種、感激した話を持って顔を見せる。
このアルバムを聴いて沸き上がったイメージを絵に仕上げ、夏休み明けの展示会に出品したという。痩せて目の大きな少年と少女が距離を置いてソファーに座っている。周りにはたくさんの熱帯魚やマンボウが泳いでいた。海の底だという。アクリル絵の具とブルーの透明セロファンを使う、とスケッチブックの下絵を見せてくれた。
虚ろな表情の二人なのに、なぜかその絵は、それを描いた彼女を思うからなのか、見る者を穏やかな気持ちにしてくれた。
「これからコンビニでオニギリを買って塾へ行くから。」
時間を気にしながら急いで帰っていった。
スイッチを入れる。イントロ、そしてメロディ・・・・・『うわっ!』・・・・・思わずオフにしてしまった。私には少し刺激が強いようだ。
彼女にはこのアルバムがある。心に響く、大切な曲がある。角が丸くなり手垢が着き、もう何年も前からの宝物であったかのようなアルバムがある。感動するかどうかは別にして、もう一度聴いてみようかなと今思う。(但し二曲目から)
Mちゃん、モォツアルト広場に遊びに来てみませんか。