会報より
ミュージカル「モーツァルト!」を観て・・・・・会員番号 K413 吉谷美十里
昨年の秋から冬にかけて東宝の70周年 記念講演として、ミュージカル「モーツァルト!」が東京・大阪にて上演されました。モォツァルト広場の会員の皆様の中にも足を運んだ方がいらっしゃると思います。かねてからミュージカル好きの私は3ヶ月前のチケット争奪戦を乗り切り、12月の帝国劇場へいってきました。私にとって当初のこのミュージカルの一番の目的は、実はモーツァルトではなくある俳優だったりしたのですが・・
このミュージカルの魅力の一つとして挙げられるのは、舞台の上に二人のモーツァルト、つまりアマデとヴォルフガングが存在することです。皆さんご存知のように、モーツァルトは長内頃その才能を花開かせ「神の子」「奇跡の子」と呼ばれていました。この舞台では年齢を重ねるにつれ、幼少時代の高い評価に逆に悩み苦しみながら生き、その中でいくつ物名曲を生み出し、成功していくモーツァルトの姿が描かれています。舞台の上でのアマデは収支一言もセリフはなく、ただただ一心不乱に譜面に筆を走らせます。作曲に行き詰まり、演奏の機会もない頃のヴォルフガングにとってその尼での姿は精神的苦痛でしかありません。しかしそのアマデの姿こそがモーツァルトの「天才」の象徴でもあるのでしょう。全体の雰囲気は暗く、苦しみのモーツァルトの姿が多く描かれた舞台でしたが、限られた3時間ほどの時間の中で、多くのモーツァルト作品を耳に出来たことはまたこのうえない喜びでした。
この舞台でのヴォルフガングはジーンズをはき、ドレッドヘアのような髪形をしていますから、真のモーツァルトファンの方々はあまりにもイメージがかけ離れ、その現代的な姿に違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。しかし自分自分に悩み、苦しみながら成長していくその姿はモーツァルトだけでなく現代の私たちにも共通し、その意味ではちょっとだけモーツァルトの気持ちもわかったつもりになった一日でした。次回また日本で上演の機会がありましたら、是非皆さんもご覧になってみてください。